2005年6月号

冒頭から暗くなるような話題です。宮城県仙台市で飲酒運転の RV 車が高校生の列に突っ込み三人の若者が亡くなりました。この三人は仙台育英学園高校に入学したばかりの15歳でした。仙台出身で吉川栄治文学賞を受賞した恩田陸さんの「夜のピクニック」という小説は夜を徹して80kmという長距離を歩くという恩田さんの高校の恒例行事をテーマに書かれた小説ですが、亡くなった三人の若者も学校の「ウオークラリー」という小説と同じような行事に参加し、23km先の目的地を目指して歩いた途中で事故にあいました。私の母校の中央大学にもナイトハイクという行事があり、夜を徹して水道橋の理工学部校舎から八王子の多摩校舎まで歩くという行事がありました。「ただ歩く」という行為だけなのに普段口に出来ないことを話し合ったり、友達の思わぬ側面に気づいたりすることもありました。きっと亡くなった三人も同じ体験をしている時に事故に遭ったんだと思います。事故を起こした26歳の男は事故の40分前まで焼酎を痛飲し居眠り運転で事故を起こしました。RV車にはブレーキを踏んだ形跡はまったくなかったということです。二人の幼女が飲酒運転のトラックに命を奪われたことをきっかけにうまれた危険運転致死傷罪。今年から最高刑が懲役20年になるなど厳罰化が進んでいます。ちなみに今回の事故で同乗していた数名にも危険運転致死傷幇助罪を適用する可能性が高いということです。飲んで運転することが明らかに分かっていて飲ませた場合には飲食店側にも責任がかかってくる場合も今後大きいと思われます。このような悲惨な事故が起こるたびに「アルコール」を販売して生計を立てている私も襟を正さなければならないと感じる今日この頃です。話は全く変わりますが、お蔭様で毎月月初に発行しております秋山商店ニュースレターも今月号で丸2年を迎えることができました。これまで様々な角度で飲食店の皆様のお役に立つ(お役に立っていると信じて・・・・)情報を発信してまいりました。今後もすこしでも有意義な情報を発信してまいります。何卒宜しくお願いイタシマス!!

イカリソース倒産・・・・ブルドッグソース傘下に!!

リサイクル設備をめぐる巨額詐欺事件で経営陣らが逮捕された老舗ソースメーカー「イカリソース」が大阪地裁に会社更生法の適用を申請していたことが24日に発覚しました。法的整理に移行後のスポンサーとして業界最大手のブルドックソースが乗り出すことになりました。 イカリソースでは先月18日、約5000万円で購入したリサイクル設備の性能を実際より大幅に高く偽り、リース会社に約8億円で転売したとされる詐欺事件で、前代表取締役らが大阪地検特捜部に逮捕されています。運転資金捻出のため、計画的に搾取を計画した前代表者は、創業者一族の4代目で30代でトップになった所謂ボンボンだったようです。同社は3期連続赤字決算という苦しい経営状態が続く中、バブル期の不動産投資の失敗も経営を圧迫していたようです。さらに一連の不祥事で関西のデパートからイカリソース不買運動がおきたことで信用力低下⇒資金繰り悪化という最悪の状態を迎えたということです。イカリソースの売上高は約79億円で負債総額は推定50億。従業員は150人。明治29年に創業し、日本で初めてウスターソース「錨印ソース」の製造をはじめた「山城屋」が前身。創業者の木村孝次郎がかつて乗船していた船が中国で船火事をおこし、梅に飛び込んだ際、運良く救命ランチの錨網につかまり九死に一生を得たことから「錨印」を命名したといわれいてます。今回の支援企業であるブルドックソースも明治35年創業と老舗中の老舗。昨年3月期の売上高は139億円。同社は関東や東北に強力な販売網を持っていますが、関西には本格進出をしていませんでした。「イカリ」ブランドはそのままにしてイカリソースを傘下に収め、西日本での業務進出を目指すと見られています。

都心に増える「立ち飲みバー」

このところ「立ち飲みバー」業態が世間の注目を集めています。「東京ウオ−カー」「D A NCYU」「日経おとなの OFF 」などの雑誌がいっせいに特集記事を組んだほどです。世の中に情報誌といわれる雑誌数あれど同時期に同じ業態の特集が組まれるのはきわめて珍しいといえます。それでは何故それほど「立ち飲みバー」が注目されているのでしょうか?私どもの会社が数十年前に行っていたホントウの酔っ払いを相手にしたいっぱい立ち飲み屋とは明らかに違う新立ち飲み屋が都内で続々と開店しています。どのあたりが以前の立ち飲み屋と違うのでしょうか?各雑誌がこぞって取り上げたお店が東京神泉の「 BUCHI <ブチ>」。ビルが立ち並び、飲食店などなさそうな大きな交差店に面したガラスドアをあけると洒落た半円形のカウンターが目に飛び込んできます。客層は30代から40代の落ち着いた男女といった感じ。お子様はちょっと入れない雰囲気で見知らぬ客同士が会話をはじめたりする雰囲気はさながらサロンといった感じ。昔ながらの立ち飲み屋の「ちょっと一杯」ひっかけて帰るという感じではなく数時間をゆったりと過ごす人が多そうです。このお店の特徴は料理とお酒の豊富さにあり、「野菜のテリーヌ」や「酒盗のピザ」「自家製ベーコン」といった創作料理のいずもが本格的です。お酒にいたっては「南部美人」「上喜元」「秋鹿」といったカップ酒としては珍しいタイプのお酒が並んでいます。従来の立ち飲み屋とは明らかに異質な雰囲気ですが、若者が多い居酒屋とも気取ったバーともカウンター料理屋とも違う、強いて言えばイタリアのバールといった感じです。バールといえば新宿3丁目にもバールがあった気がしますが、そのお店は併設するリストランテの食前にちょっと軽く飲むといった雰囲気であり、立ち飲みという感じではありませんでした。いずれにしても現在都内で増殖しつつある立ち飲みバーに共通して言えるのは大人をターゲットにしているという点です。しかも簡易で効率的な回転率勝負の飲食店を目指すのではなく、立ち飲みならではのコミュニケーションの取りやすい空間を作ろうとしているお店が多いようです。このような傾向は「飲食店」の導線を握るのが若者から大人へとリード役が移り変わりつつことを暗示しているのかもしれません。確かに我々のような30代後半から40代後半は、学生時代や独身時代にさまざまな流行を目の当たりにしてきた世代でもあり、ある程度選択眼を持っている方も多い世代です。この世代のモチベーションを上げるコンセプトの飲食店というのもありなのかなーとも思います。

吉野家ついに首位転落!!事業多角化、代替輸入もせず

ついに牛丼界の巨人「吉野家」が牛丼チェーン業界首位から転落しました。「すき家」を展開するゼンショーの平成 1 7年3月期の連結売上高が吉野家ディーアンドシーを上回ることが明らかになりました。「ココス」などグループの外食チェーンが好調なゼンショーですが、牛丼事業でも拡大路線で3年後に吉野家を抜き去る計画です。ゼンショーの連結売上高は1253億円、連結経常利益は36億円と増収増益。吉野家が17年2月期に売上高を1179億円まで減らし、11億円の経常赤字に転落してしまったのとは対照的でした。明暗を分けたのは BSE 問題による米国牛肉の輸入禁止への対応と事業の多角化でした。吉野家が米国産牛肉にこ固執して、牛丼販売の休止を続けたのに対して、すき家は豪州産牛肉を使って牛丼販売を再開して売上を伸ばしました。おなじく中国産牛肉を使用した松屋フーズも減益ながら増収を確保しました。また、ゼンショーは積極的な M & A 戦略によりファミリーレストラン「ココス」、ハンバーガーチェーン「ウエンディーズ」さらに牛丼チェーンの「なか卯」を傘下におさめたことで牛丼単体の売上高も今後3年間で吉野家を凌駕する計画です。今後の牛丼戦争を占う米国産牛肉の輸入再開に関しては生後20ヶ月以下の牛肉の輸入再開が検討されていますが、吉野家の幹部によると「生後 20 ヶ月以下の牛肉では従来の 10 〜 15 %程度の量しか入ってこないことになるので生後 30 ヶ月未満の牛肉の輸入への基準変更を!」と主張しています。ライバル各社は米国産牛肉以外の調達ルートを確保しているのでそれほど米国産牛肉にたいする輸入再開を強く求めていない為、吉野家の苦しい状況は当分続きそうです。

ちょっと気になる外食ニュース

<株式>ぐるなびがヘラクレスに上場 日本最大の飲食店検索サイト「ぐるなび」が4/25にヘラクレスに上場しました。1996年にスタートし、2005年3月期の売上高は推定55億円、経常利益は8億円。上場初日は買い注文が多く値がつかず。ぐるなびのライバル企業であるリクルートのフリーペーパー「ホットペッパー」がネットで飲食店紹介を開始。逆に「ぐるなび」も夏を目処にフリーペーパーの配布を開始する予定。印刷物とネットの両方で両者のせめぎあいが続きそう。 <買収>居酒屋「海鮮問屋」をジー・コミュニケーションが買収 サンリオの子会社サンウエイが経営していた「海鮮問屋」は18店舗を経営していましたが、1994年から実質債務超過に陥っていました。ジー・コミュニケーションは学習塾と外食を F C展開、大正浪漫居酒屋「高粋舎」を直営、FCの合計141店舗を経営しており、今回の「海鮮問屋」を6億7千万円で買収しました。外食産業を 1 から立ち上げる大変さを考えれば既存店を買収して事業を大きくするコロワイド方式の買収が事業戦略として今後増えていくと思われます。 <業績>ファミレス「ココス」が既存店売上高 4 %増 ドラえもん効果か? 2005 年 2 月期連結決算を発表。売上高 625 億 5 千万で 4 %増。経常利益 24 億 3 千万、 30 %増。「どらえもん」を起用した販促キャンペーンが家族客に訴求したようです。日本マクドナルドも販促でドラえもんを起用。家族向けの販促ではキャラクター、特に家族全員に安心感を持って迎えられるドラえもんはやはり強かった。。。。 <未来>女の子は大人になったら「食べ物屋さん」 第一生命が幼稚園児、小学生を対象に 1989 年から毎年調査して入る調査によると女の子の憧れの職業第 1 位は「食べ物屋さん」で 8 年連続で 1 位。将来は女性の飲食店経営者が増える? <表示>北の家族が食材の偽装表示 昨年 2 月〜 9 月に撒いた 46 万部のチラシの中に偽装表示があり、公正取引委員会が景表法違反で 5/25 に警告しました。「知床地鶏」がブラジル産、「十勝牛」が米国産でした。農林水産省が外食の原産地表示義務を検討している最中の事件発覚!! <漁業>マグロ、カツオの漁獲量が 10 年で半減 政府が発表した水産白書によるとマグロ、カツオなど遠洋漁業の漁獲量は 2003 年に 60 万トン、 1993 年は 114 万トンあり 10 年間で半減した形となりました。国際的な乱獲防止の取り組みが急務とされます。 <経営>回転すしのアトムが香港ファンドの傘下に 同社は 2005 年 3 月期に 3 億円の営業損失、来期に約 33 億円の債務超過に転落する見込み。香港の投資ファンド、オリンパスキャピタルホールディングスアジアが 51 億円の第三者割り当て増資を引き受け、 51 %の筆頭株主になる。アトムは回転すしばかりでなく焼肉、とんかつ、お好み焼きなどの多様な業態を展開していましたがいずれも競合が多く集客がすすまなかったようです。

<データ> 4 月の外食チェーン売上高 0.4 %減

客単価 1.4 %減ながら客数は 1.0 %増。客数は 2 ヶ月連続で前年を越えた。マクドナルドが牽引し、洋風ファーストフードの客数も 8.2 %アップ。新店を含めた全店ベースでは売上高 2.6 %増。客数は 3.4 %増。前年より土曜日が 1 日多かったこともプラスに牽引した要因のひとつと思われます。